マンション売却時の仲介手数料は?費用を安くする方法や節税対策・注意点を解説

契約書に記入する男性

マンションを売却するときには、仲介手数料や印紙税などのさまざまな手数料が必要です。

また、住宅ローンが残っている場合であれば残高の一括返済も求められます。

この記事では、マンション売却の際にどのような手数料が発生するのかご紹介し、それぞれを抑える方法をまとめました。

売却したときに譲渡所得が発生した場合の節税方法もご紹介するので、ぜひマンション売却にお役立てください。

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マンション売却にかかる仲介手数料の早見表

不動産会社を通してマンションを売却すると、仲介手数料が発生します。

不動産会社によって仲介手数料は異なりますが、宅地建物取引業法で定められた上限額を超えることはありません。

仲介手数料の上限額は以下のとおりです。

仲介手数料は消費税の課税対象なので、消費税分も合算して見積もっておきましょう。

売却価格(税抜) 上限手数料(税込)
400万円超 税抜売却価格×3%+6万円+消費税
200万円超400万円以下 税抜売却価格×4%+2万円+消費税
200万円以下 税抜売却価格×5%+消費税

※2019年10月1日以降の取引に関しては消費税は10%です。

参考:国税庁 「No.6303 消費税及び地方消費税の税率」

マンション売却にかかる費用一覧

マンションを売却する際には、次の費用がかかることがあります。

売却時にかかる費用 内容
仲介手数料 不動産会社に支払う仲介手数料。上限が決まっている。
印紙税 売買契約書に貼る収入印紙代。取引価格によって異なる。
登記費用 ローンが残っている場合は抵当権抹消登記の費用がかかる。
司法書士報酬 登記手続きを司法書士に依頼する場合は報酬が必要になる。
証明書類取得費用 登記や売買契約の際に、印鑑証明書などの書類が必要になる。
ローン残債の清算金 ローンが残っている場合は残債を一括で清算する。
ローン一括返済手数料 ローンを一括返済するときに手数料がかかることがある。
引っ越し代 居住中のマンションを売却するときは引っ越し代が必要。
ハウスクリーニング代 ハウスクリーニングをしてから引き渡すこともある。

状況によっては他にも費用がかかることがあります。

不動産会社にどのような費用がかかるのか尋ねておきましょう。

翌年以降にかかる費用一覧

印紙税のように取引の場で納める税金もありますが、後日納付が必要になる税金もあります。

状況にもよりますが、次の費用が翌年以降にかかる可能性があります。

翌年以降にかかる費用 内容
譲渡所得税 売却価格からマンションの売却(譲渡)や購入にかかった費用を差し引いて、譲渡所得があるときのみ。
復興特別所得税 譲渡所得があるときのみ。譲渡所得税額の2.1%
住民税 譲渡所得があるときのみ。

参考:国税庁「No.2507 復興特別所得税の源泉徴収」

マンション売却時にかかる「仲介手数料」について

仲介手数料とは、不動産会社が不動産売買を仲介したことに対して支払う手数料です。

マンションを売却する場合であれば、不動産会社は以下の業務を実施します。

  • 売却するマンションの情報をポータルサイトやチラシなどに掲載する
  • 購入希望者を見つける
  • 内覧がスムーズに進むように対応する
  • 売買契約書を作成する
  • 売買契約から引き渡しまでをサポートする

仲介手数料は成功報酬型です。

売却するマンションの情報をポータルサイトに掲載する、購入希望者を見つけるための販売活動に取り組むなどの行為は、いずれも売買が成立するかどうかに関わらず実行されます。

そのため、不動産会社にマンション売却を依頼したものの、途中で気持ちが変わって売却を取りやめたときには仲介手数料は発生しません。

また、買い手は見つかったものの、条件が折り合わず取引が成立しなかったときも仲介手数料は不要です。

仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」

不動産会社にマンションなどの不動産の売却を依頼し、取引が成立したときは、取引額によって定められた上限額以下の仲介手数料が発生します。

ただし、マンションは400万円よりも高額で取引されることが多いので、仲介手数料の上限額は「売却価格×3%+6万円+消費税」と覚えておきましょう。

なお、この式で計算する仲介手数料の金額はあくまでも上限額のため、実際に請求される手数料はこの金額よりも少ないこともあります。

仲介手数料を払うタイミング

仲介手数料は成功報酬のため、取引が成立するまでは支払いません。

また、取引価格が決まっていない状態では仲介手数料の上限額を計算できないので、いずれにしても取引後に支払います。

仲介手数料は売買契約をおこなうときに全額支払うこともありますが、売買契約のときに半額、マンション引き渡しのときに残りの半額を支払うことが一般的です。

不動産会社によって仲介手数料を支払うタイミングや回数、各回の手数料の割合が異なるので、事前に確認しておきましょう。

売却額が税抜400万円以下なら特例が適用される

マンションの売却額が税抜400万円以下のときは、以下の特例が適用されます。

  • 仲介手数料(税抜)+現地調査などの費用(税抜)≦18万円

不動産の仲介をする際、不動産会社は売り主・買い主が不利益を被らないためにも物件を調査するなどの活動をおこないます。

このような調査活動にかかる費用は不動産の価格に比例して高くなるのではなく、どの不動産でも同程度の費用が必要です。

取引価格が高額になるときは、調査費用がかさんでも不動産会社は利益を得ることができますが、取引価格が少額のときは不動産会社の持ち出し分が多く、損をしかねません。

とはいえ十分な調査をせずに取引を成立させてしまうと、後になってから欠陥などがわかり、トラブルが生じる可能性もあるでしょう。

そこで取引価格が400万円以下のときには、仲介手数料とは別に現地調査などにかかった費用を請求できる特例を設け、不動産会社が十分な調査をおこなえるように取り決められています。

また、現地調査の費用が高すぎて買い主・売り主の負担が大きくなりすぎないように、18万円の上限も定められました。

なお、取引価格が400万円超のときは、仲介手数料のなかに現地調査などにかかる費用はすべて含まれています。

そのため、不動産会社から仲介手数料とは別の手数料を請求されることはありません。

仲介手数料には減価償却が反映されないので要注意

投資用マンションを運営するときには、毎年、減価償却費を経費計上し、マンションの資産価値を減らし、節税につなげます。

しかし、仲介手数料は実際に取引が成立した価格で計算されるため、減価償却をしてマンションの資産価値が減っていても仲介手数料が安くなるわけではありません。

人気が高まっているエリアであれば、購入したときよりも高額に売れることもあり、それに応じて仲介手数料が高額になることもあります。

仲介手数料の計算シミュレーション

仲介手数料を具体的な数字で計算してみましょう。

マンションが2,000万円で売却できたときは、次の計算式を用いて計算するため、仲介手数料の上限額は72万6,000円です。

仲介手数料のなかに現地調査費用などの実費も含まれているので、別途費用は請求されません。

  • 売却価格×3%+6万円+消費税※=(2,000万円×3%+6万円)×1.1=72万6,000円

マンションの売却価格が300万円の場合は、以下の計算式により仲介手数料として請求される金額の上限額は15万4,000円です。

  • 売却価格×4%+2万円+消費税※=(300万円×4%+2万円)×1.1=15万4,000円

しかし、400万円以下の特例により、調査費用を含めて18万円(消費税込みで19万8,000円)まで請求される可能性があるため注意が必要です。

マンションの価格が200万円の場合は、以下の計算式により仲介手数料として請求される金額の上限額は11万円です。

  • 売却価格×5%+消費税※=200万円×5%×1.1=11万円

しかし、この場合も400万円以下の特例により、調査費用を含めて18万円(消費税込みで18万8,000円)まで請求される可能性があります。

※消費税は10%で計算しています。

マンション売却にかかる5つの費用・税金

マンションを売却する際には、不動産会社に支払う仲介手数料以外にもさまざまな費用や税金が必要です。

主な税金・費用には、次の5つが挙げられます。

  • 印紙税
  • 登記費用
  • 住宅ローンの一括返済手数料
  • 譲渡所得税
  • その他諸費用

それぞれどのような費用なのか、対象となる取引や対象者を解説します。

また金額の目安も見ていきましょう。

必ずかかる費用1.印紙税

契約書を作成したときには印紙税が発生します。

印紙税額は契約金額によって変わるため、マンションが高額で売却できたときは、それに応じて印紙税額も高額になる点に注意しましょう。

なお、2024年3月31日までに不動産売却の取引が成立した場合、軽減措置が適用されます。

ただし、売却額が10万円以下のときには軽減措置の対象とはなりません。

契約書に記載された金額 印紙税額 軽減措置適用後の印紙税額
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
5億円超10億円以下 20万円 16万円

参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

必ずかかる費用2.登記費用

マンションの売却とは、マンションの所有権が売り主から買い主へ移転することです。

法務局で所有権移転登記の手続きをし、登記費用(登録免許税)を納める必要があります。

所有権移転登記の登録免許税は買い主が納めることが一般的です。

しかし、買い主が納付しなくてはいけないわけではないため、事前に買い主と売り主のどちらが負担するのか、不動産会社に確認しておきましょう。

登録免許税は、売却価格ではなく固定資産税評価額で計算します。

土地は、2023年3月31日までの登記に関しては軽減措置が適用される点に注意が必要です。

また、建物は、2024年3月31日までの登記に関しては軽減措置が適用されます。

<所有権移転登記の登録免許税>

登録免許税額 軽減措置適用後の登録免許税額
土地 固定資産税評価額×2.0% 固定資産税評価額×1.5%
建物 固定資産税評価額×2.0% 固定資産税評価額×0.3%

マンションにローンが残っている場合は、買い主へ引き渡すときまでに残債を清算しておかなくてはいけません。

ローンを完済するとマンションから抵当権が外れるので、法務局で抵当権抹消登記の手続きが必要です。

抵当権抹消登記には物件1件あたり1,000円の登録免許税がかかります。

マンションの場合は土地と建物の2つの物件があると考えられるので、1,000円×2=2,000円必要です。

抵当権抹消登記は売り主のローンを清算したときにおこなう手続きのため、登録免許税額は売り主が負担します。

マンションの売却時に発生する登録免許税の種類と税額をまとめると、以下のようになります。

登記の種類 内容
売り主 所有権移転登記 税額の負担はないことが一般的
抵当権抹消登記 ローンが残っている場合のみ。2,000円
買い主 所有権移転登記 固定資産税評価額の2.0%。ただし2023年3月31日までの手続きは、土地の登録免許税額は固定資産税評価額の1.5%。2024年3月31日までの手続きは、建物の登録免許税額は固定資産税評価額の0.3%に軽減される。
抵当権抹消登記 不要
抵当権設定登記 ローンを組んでマンションを購入する場合は必要。借入れ金額の0.4%の登録免許税額が必要だが、2024年3月31日までは軽減措置が適用されて借入れ金額の0.1%に減額される。

登記手続きにはさまざまな書類が必要なだけでなく、申請書類なども作成しなくてはいけません。

手続きを自力でおこなうことが難しい場合は、司法書士に頼んで代行してもらうことができます。

その場合は司法書士報酬が別途発生するので注意しましょう。

参考:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

該当者のみかかる費用3.住宅ローンの一括返済手数料

ローンを組んでマンションを購入し、まだ完済していない場合であれば、買い主にマンションを引き渡すまでに残債の一括返済が必要です。

まずは残債がいくらあるのか金融機関に問い合わせておきましょう。

金融機関によっては一括返済する際に手数料がかかることがあります。

手数料の金額は、金融機関によっても変わりますが、ローンの手続きをオンラインでしたのか店頭でしたのかによっても異なることがあるので注意が必要です。

該当者のみかかる費用4.譲渡所得税

譲渡所得がある場合には、譲渡所得に対して譲渡所得税と復興特別所得税、住民税が発生します。

譲渡所得があるかどうかは、以下の計算式で調べておきましょう。

  • 譲渡所得金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費とはマンションを取得したときにかかった費用です。

マンションの代金や購入したときに納めた登録免許税額、不動産取得税、印紙税などもすべて取得費に含めることができます。

また、譲渡費用とはマンションを売却するときにかかった費用です。

不動産会社に支払った仲介手数料や印紙税などが含まれます。

特別控除額とは、マンションがマイホームだったときなどの特定の状況下で適用される控除額です。

売却価格から取得費と譲渡費用、特別控除額を差し引いた結果、マイナスの数字になったときは課税所得がないと考えられるので、譲渡所得税や復興特別所得税、住民税は発生しません。

しかし、計算した結果、課税所得金額があることが判明したときは、譲渡所得税などの納付が必要です。

譲渡所得税率は、マンションを所有していた期間によって異なります。

マンションを売却した年の1月1日時点にマンションの所有期間が5年を超えているときは長期譲渡所得、所有期間が5年以下のときは短期譲渡所得です。

それぞれ、譲渡所得金額に以下の税率をかけて税額を求めます。

長期譲渡所得 短期譲渡所得
譲渡所得税率 15% 30%
復興特別所得税率 0.315% 0.63%
住民税率 5% 9%

長期譲渡所得のときは譲渡所得金額の20.315%を納税します。

一方、短期譲渡所得のときは譲渡所得金額の39.63%もの納税が必要です。

短期譲渡所得では長期譲渡所得の約2倍もの税額となるため、売り急いでいるのでないならば5年超経過してからマンションを売却するほうが良いでしょう。

ただし、地価が大幅に上昇したなどの特殊な状況にない限り、譲渡所得はないことが一般的です。

建物の価格は年数経過により下がることが多いため、購入時と売却時の地価がほとんど変わらないのであれば、譲渡所得が生じることはありません。

該当者のみかかる費用5 .その他諸費用

マイホームとして居住していたマンションを売る場合であれば、引っ越し費用がかかります。

すでに引っ越し先が決まっている状態であれば引っ越し費用は1回のみかかりますが、まだ引っ越し先が決まっていないときや引っ越し先の建物が完成していないときは、仮住まいに引っ越す必要があるため引っ越し費用が2回必要です。

また、マンションを少しでも清潔な状態で買い主に渡したいと考えるのであれば、ハウスクリーニング費用もかかります。

汚れの状況や買い主の要望なども考慮に入れ、ハウスクリーニングを実施するかどうか決めましょう。

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マンション売却時に戻ってくる3つの費用

マンションを売却するときにはさまざまな費用が発生しますが、すべて出ていくばかりではありません。

状況によっては戻ってくる費用もあるので、どの程度戻ってくるのか計算しておきましょう。

戻ってくる費用には、次の3つが挙げられます。

  1. 住宅ローン保証料
  2. 火災保険料
  3. 各種精算金

それぞれどのような費用なのか解説します。

1.住宅ローン保証料

マンション売却の際に住宅ローンを清算すると、住宅ローン保証料が戻ってくることがあります。

住宅ローン保証料とは、住宅ローンを借りるときに保証会社に支払う保証料です。

保証料の払い方には金利上乗せと一括前払いの2つの方式があります。

金利上乗せでは毎月の返済額に保証料をその都度上乗せして支払うため、支払った保証料が多すぎる状況にはなりません。

しかし、一括前払いでは住宅ローンを借りるときにまとめて全返済期間分の保証料を支払うので、返済期間が短縮されたことで保証料の余剰分が生じます。

そのため、一括前払い方式で保証料を払っている場合、マンション売却の際に住宅ローンを完済すると保証料が戻ってくる可能性があるでしょう。

もし戻ってくる保証料があるときは、特に手続きをしなくても自動的に返金されます。

保証料の支払い方式を覚えていない方は、住宅ローンの契約書を確認するか、金融機関に問い合わせて調べておきましょう。

2.火災保険料

火災保険料や地震保険料は年払いや複数年払いで払うことが一般的なため、マンションの売却にともない各保険を解約すると、月単位で清算されて返戻金が返却されます。

返戻金は以下の計算式で求めます。

  • 返戻金=一括で支払った保険料×経過期間に応じた返戻率

返戻率は月単位で等分に計算した金額よりも少し少なくなるように設定されています。

例えば、火災保険料を2年分一括で支払い、1年目の最後の月に解約したとしましょう。

払い過ぎた火災保険料はちょうど1年分となるので支払った保険料の半額が戻ると考えられますが、実際のところは半額よりも少し少ない金額です。

なお、火災保険や地震保険はマンションを引き渡してから解約するようにしましょう。

引き渡すまでに解約してしまうと、火災や地震などにより被害が生じたときに適切な保証を得られなくなるため注意が必要です。

引き渡した後に解約手続きをおこなうと、保険会社から返戻金還付の申請書類が送付されます。

必要事項を記載して返送すると還付金が口座に振り込まれますが、返送を忘れていると還付金は受け取れません。

マンションの売却や引っ越しなどで忙しくなる時期ですが、大切な手続きなので忘れずにおこなうようにしましょう。

3.各種精算金

マンションを買い主に引き渡す際に、前払いした費用などがあれば精算することがあります。

次の税金や料金は、精算金の対象となることがあるので注意しましょう。

  • 固定資産税、都市計画税
  • 管理費、修繕積立金、大規模修繕工事用の臨時の積立金
  • 駐車場や駐輪スペースの使用料

それぞれの税金・料金が精算金になる状況を解説します。

固定資産税、都市計画税

精算金の対象となることが多いものに、固定資産税と都市計画税が挙げられるでしょう。

固定資産税や都市計画税は、その年の1月1日時点の所有者に対して1年分の税金が課せられる仕組みです。

そのため、マンションを売却し、実際には所有権がない期間でも税金を支払うことになってしまいます。

例えば1月31日に手放し、実際には1年のうち1ヵ月しか所有していない場合でも、1年分の固定資産税と都市計画税を支払います。

売り主にとっては負担が大きい仕組みのため、固定資産税と都市計画税の合計額を12で割り、所有する月数に応じて売り主と買い主で分配できるでしょう。

この場合であれば、売り主は固定資産税と都市計画税の合計額の12分の11を買い主から受け取り、両者の間の不公平感を解消します。

なお、固定資産税と都市計画税の精算は法律によって定められているルールではありません。

法律ではあくまでもその年の1月1日時点の所有者が1年分の固定資産税と都市計画税を納付すると定められているので、買い主が支払いを拒否してもペナルティはありません。

ただし、年の初めに売却する場合であれば、売り主が税負担を大きく感じるのも仕方のないことです。

買い主としっかりと話し合い、お互いが納得できる精算をおこなうようにしましょう。

管理費、修繕積立金、大規模修繕工事用の臨時の積立金

その他にも、精算金が発生する可能性がある費用に修繕積立金や管理費が挙げられます。

マンションによっても異なりますが、翌月分を引き落とす方式であれば、売り主は1ヵ月分余分に払ったことになるでしょう。

マンションを引き渡す際に精算し、買い主が1ヵ月分の修繕積立金と管理費を売り主に渡すこともあります。

また、修繕積立金で積み立てた金額では大規模修繕工事が実施できないときは、毎月の修繕積立金とは別に追加で修繕費を管理組合などから請求されることがあるかもしれません。

マンションを引き渡す前に修繕費の請求を受けた場合、所有権があるのは売り主なので売り主が支払う義務を負います。

しかし、修繕によってメリットを受けるのは買い主なので、買い主が支払うのが妥当だと考えられるでしょう。

このような場合も、買い主と話し合って精算方法を決めます。

ただし、修繕積立金や管理費、大規模修繕工事向けの修繕費のいずれも本来は売り主が支払いの義務を負うので、買い主に支払いを強要することはできません。

駐車場や駐輪スペースの使用料

その他にも、駐車場や駐輪スペースの翌月分の使用料を売り主が支払ったときなどにも、買い主と話し合って精算方法を決める必要があります。

一方的に意見を主張するのではなく、買い主と話し合ってお互いの妥協点を見つけていくようにしましょう。

なお、買い主から精算金を受け取った場合は、譲渡所得金額を計算するときには売却価格に含めます。

場合によっては精算金を受け取ったことで譲渡所得税が発生したり、増額したりすることもあるので注意が必要です。

「仲介手数料」を抑える6つの方法

マンションを売却するときに発生する費用のなかでも、仲介手数料は金額が多く、負担に感じることがあります。

仲介手数料が負担に感じるときは、次の方法を検討してみましょう。

  1. 個人間で売買する
  2. 仲介手数料が無料・半額の不動産会社を選ぶ
  3. 専任媒介契約を結ぶ代わりに値段を交渉する
  4. 勤務先の株主優待や福利厚生を使う
  5. 設備付きのマンション売却を提案する
  6. 不動産会社に直接買い取ってもらう

それぞれの方法を解説します。

1.個人間で売買する

仲介手数料は、不動産の売買を仲介したことに対して支払う手数料です。

マンションの買い手を自力で見つけ、個人間で売買すれば仲介手数料は発生しません。

例えば、親しい友人や親族などへのマンション売却がすでに決まっているなら、不動産会社を通さずに直接売買をおこない、仲介手数料を節約できます。

しかし、不動産会社の仲介を受けないことでトラブルが生じやすくなる点にも注意しましょう。

契約書も自力で作成するため、不動産の知識がない場合には不備が多くなります。

2.仲介手数料が無料・半額の不動産会社を選ぶ

宅地建物取引業法により仲介手数料の上限額は定められていますが、下限額は定められていません。

実際に仲介手数料無料でマンションを売却できる不動産会社や、上限仲介手数料の半額での売却が可能な不動産会社もあるので、探してみることもできます。

仲介手数料が無料の不動産会社では、売り主からは仲介手数料を受け取らない代わりに、買い主からは仲介手数料を法定上限額まで受け取ることが一般的です。

売り主にはお得な仕組みなので、仲介手数料の節約を目指すときにはインターネットなどで検索してみましょう。

3.専任媒介契約を結ぶ代わりに値段を交渉する

不動産会社に仲介を依頼するときには、媒介契約の締結が必要です。

媒介契約には専属専任媒介契約と専任媒介契約、一般媒介契約の3つの種類があり、売り主は自由に選択できます。

特定の一社とのみ媒介契約を締結する場合は、専属専任媒介契約か専任媒介契約です。

一般媒介契約は複数の不動産会社と締結できるので、不動産会社は「他の不動産会社で売却が決まるかもしれない」リスクを負うことになります。

そのため、売り主は専属専任媒介契約か専任媒介契約を締結する条件で、仲介手数料の割引を不動産会社に要求できるかもしれません。

なお、専属専任媒介契約と専任媒介契約の違いは、売り主が自力で見つけた相手と自由に取引できるかどうかにあります。

専任媒介契約では、売り主は自力で見つけた相手と不動産会社の仲介なしの取引が可能です。

しかし、専属専任媒介契約では、売り主は自力で見つけた相手に不動産を売却する場合でも不動産会社に仲介手数料を支払わなくてはいけません。

専任媒介契約での値段交渉がうまくいかないときは、専属専任媒介契約を結ぶことを条件に値段交渉してみましょう。

4.勤務先の株主優待や福利厚生を使う

企業によっては、福利厚生の一環で不動産会社と提携し、社員がお得な仲介手数料で利用できるようにサポートしていることもあります。

勤務先の福利厚生を調べてみましょう。

また、株主に対して仲介手数料を割り引く優待サービスを提供している不動産会社もあります。

不動産会社の株式を所有している場合は、優待サービスを確認してみましょう。

5.設備付きのマンション売却を提案する

マンション内にある家具や家電を手放しても良いと考えているのであれば、設備付きの状態でのマンション売却を不動産会社に提案してみましょう。

家具や家電があれば購入希望者は生活のイメージがつかみやすくなり、売れやすくなることもあります。

また、すぐに生活を始めたいと考えている購入希望者にも、設備付きのマンションは魅力です。

大手不動産会社と比べると、中小規模の不動産会社は柔軟な対応を期待できます。

設備付きを条件に仲介手数料の割引を交渉してみてはいかがでしょうか。

6.不動産会社に直接買い取ってもらう

不動産会社によってはマンションの買い取りに対応していることがあります。

買い取りの場合は仲介業務が発生しないため、仲介手数料なしの売却が可能です。

買い取りは買い主がいなくても成立するので、仲介と比べて短期間で売却できます。

しかし、仲介よりは売却額が低くなる傾向にある点に注意しましょう。

「税金」を減らす3つの特例

マンションを売却したときに譲渡所得があると、譲渡所得税や復興特別所得税、住民税を翌年以降に納付しなくてはいけません。

税金を減らすために利用できる特例をご紹介します。

1.「3,000万円特別控除」の特例

譲渡所得は以下の計算式により求めるため、特別控除額が多いときは減額でき、結果として譲渡所得税や復興特別所得税、住民税も減らせます。

  • 譲渡所得金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

売却するマンションがマイホーム(居住用財産)であるときは、3,000万円特別控除の特例を適用できます。

現時点で居住していないマンションの場合も、住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までなら、3,000万円特別控除の特例の対象です。

特別控除額として3,000万円を差し引くことで、上記の計算式で求める譲渡所得金額が0以下になる可能性は高くなります。

譲渡所得金額が0以下になると譲渡所得税などの納付義務もなくなるため、高い節税効果を得られる特例です。

2.「10年以上所有していた場合」の特例

売却する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得税率が軽減される特例の適用が可能です。

軽減税率が適用されるときは、譲渡所得税額は以下の計算式で求めます。

  • 譲渡所得金額が6,000万円以下:譲渡所得金額×10%
  • 譲渡所得金額が6,000万円超:(譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円

この特例は3,000万円特別控除と併用できます。実際にどの程度の税額になるのか計算しておきましょう。

3.「買換えをした場合」の特例

マイホームを買換えする場合、売却する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているのであれば、譲渡所得税の納付を次回の買換え時まで繰り延べる特例の適用が可能です。

なお、この特例は2023年12月31日までの買換えに適用されます。

また、この特例は3,000万円特別控除などの他の特例とは併用できません。

さらに次の条件もすべて満たすことが求められます。

  • 居住中のマイホーム(居住用財産)、もしくは住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却する
  • 売却するマイホームと新たに購入するマイホームのいずれも日本国内にある
  • 売却代金が1億円以下
  • 買換える建物の床面積が50平方メートル以上、かつ買換える土地の面積が500平方メートル以下である
  • 売却の前年から翌年までの3年以内に買換える
  • 中古不動産に買換える場合は耐震基準を満たしている、あるいは築25年以下である
  • 親子などの特別な関係にある人物への売却でない

参考:国税庁 「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

【赤字の場合】「税金」を減らす2つの特例

マンション売却により赤字が生じることもあります。

そのような場合は、赤字を活かした節税に注目してみましょう。

赤字を節税につなげる2つの特例をご紹介します。

1.「買換えをした場合」の特例

マンションを売却した金額よりも買換えた金額のほうが多いときは、買換えの特例が適用され、売却した年に関しては譲渡所得がなかったものとして扱われます。

反対に、売却した金額より買換えた金額が少ないときは、売却した金額から買換えた金額を差し引いた金額を収入金額として譲渡所得税を計算しなくてはいけません。

この特例により、買換え時に赤字が生じると譲渡所得税などの減税(実質的には免除)が実現します。

ただし、3,000万円特別控除や所有期間が10年を超える場合の特別控除とは併用できないので注意しましょう。

2.「譲渡損失が生じた場合」の特例

マンション売却により譲渡損失が生じた場合は、次の条件を満たしている場合に限り、その年の給与所得や事業所得と損益通算でき、所得税の減税が可能です。

  • マイホーム(居住用財産)の売却である
  • 売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている

例えば、マンションを3,000万円で売却した場合を考えてみましょう。

購入する際には4,000万円の費用がかかり、売却する際には500万円の費用がかかったとすると、以下の計算式から1,500万円の譲渡損失が生じたと計算できます。

  • 売却価格-(取得費+譲渡費用)=3,000万円-(4,000万円+500万円)=-1,500万円

譲渡損失が発生した年に給与所得や事業所得が800万円あったとすると、損益通算により全額を控除できるため、その年の所得税額は実質免除となります。

すでに納税した所得税などは後日還付されます。

また、控除できなかった700万円(1,500万円-800万円)も、翌年以降3年以内であれば所得税の控除に活用可能です。

マンションの売却費用に関する3つの注意点

マンションを売却するときにはさまざまな費用がかかります。

支払う費用だけでなく受け取る費用もあり、種類が多い分、トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

次の3点に注意し、トラブルを回避しましょう。

  1. 不動産会社の囲い込み
  2. 税金の滞納
  3. 住宅の瑕疵(欠陥)

それぞれのポイントで何に注意できるのか、またどのようなトラブルに巻き込まれる可能性があるのか解説します。

1.不動産会社の囲い込み

マンションの売却を特定の不動産会社に依頼するときは、専属専任媒介契約か専任媒介契約を締結します。

いずれの媒介契約を締結したときも、不動産会社はレインズ(宅地建物取引業者がアクセスできる不動産情報システム)にマンション情報を登録し、他の不動産会社が閲覧できる状態にしておかなくてはいけません。

レインズに登録すると、顧客からマンション購入の依頼を受けた不動産会社が情報をチェックし、顧客の希望に合致する場合は売却依頼を受けた不動産会社に問い合わせ、売買取引の成立を目指します。

しかし、レインズに物件情報を登録しない不動産会社や、また、物件情報を登録しても、他の不動産会社からの問い合わせを受け付けない不動産会社もあるので注意が必要です。

このような不動産会社は売り主だけでなく買い主も自社で見つけて、売り主・買い主の双方から仲介手数料を得ようとします。

このように意図的に他の不動産会社からの問い合わせに受け付けない行為が囲い込みです。

囲い込みをされると、買い主が見つかりにくくなるため、売却までに時間がかかる可能性があります。

また、他の不動産会社からの問い合わせを受け付けないことで、より高値で売却する機会を逃す可能性もあるでしょう。

場合によっては、自社に依頼した顧客に売却するために、売却価格の値下げを要求されることもあります。

早期売却や高額売却を実現するためにも、囲い込みをしない不動産会社を選ぶことが必要です。

ただし、囲い込みをする不動産会社かどうか見分けることは容易ではありません。

囲い込みを回避したいときは、一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼するか、いくつかの不動産会社の担当者と実際に会い、誠実な対応を期待できる不動産会社を選んで専属専任媒介契約や専任媒介契約を結ぶようにしましょう。

2.税金の滞納

固定資産税や都市計画税を滞納している状態でも、マンションの売却は可能です。

しかし、マンションを売却するときには固定資産税納税通知書の提出が求められることが一般的なため、滞納していることがすぐに買い主に知られてしまいます。

税金を滞納し続けると将来的にはマンションが差し押さえられる可能性があるため、マンション購入を希望する方にとっても避けたい物件となるでしょう。

スムーズに売却するためにも、売却を依頼する前に未払い分の固定資産税と都市計画税を納付し、税金の滞納を解消しておきます。

3.住宅の瑕疵(欠陥)

マンション売却の際、売り主は瑕疵担保責任を負うことになります。

瑕疵担保責任とは、契約時点では明らかでなかった瑕疵(欠陥)が後日見つかった場合に、売り主が買い主に対して責任を負い、契約解除や損害賠償に応じることです。

なお、瑕疵担保責任の期間は売買時の契約書内で定めます。

瑕疵担保責任を軽減するためにも、契約前にマンションの状態を買い主に正確に伝えておきましょう。

契約前に伝えた不具合は瑕疵とはみなされないため、後日責任を問われる可能性を減らすことができます。

マンション売却時によくある質問

マンション売却時によくある質問とその答えをまとめました。

ぜひご覧になり、疑問を解消してからマンション売却を進めていきましょう。

なお、マンション売却を成功させるためには、不動産会社選びが重要なポイントです。

信頼できる不動産会社なのか、納得できる価格での売却をサポートしてくれるのか、事前に厳しくチェックしてから媒介契約を締結するようにしましょう。

複数の不動産会社を比較するとご自身に合う不動産会社を見つけやすくなります。

「すまいさてい」はまとめて複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスです。

ぜひ不動産会社選びにご活用ください。

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ローンが残っているけど売却できる?

ローンが残っているマンションも売却は可能です。

ただし、引き渡しのときまでには残債を清算し、抵当権を抹消しておく必要があります。

売却により受け取る金額でローン残債を清算できるのか計算してから、売却を進めるようにしましょう。

売却により受け取る金額でローン残債を清算できないときには、差額を貯金などで支払う必要があります。

資金計画を立て、スムーズに引き渡せるようにしておきましょう。

マンション売却時によくある失敗は?

買換えの際、売却と購入のタイミングがずれて失敗するケースも少なくありません。

まだ引っ越し先が決まっていないのに売却が完了すると、仮住まいに暮らすことになります。

仮住まいの家賃が発生するだけでなく、引っ越し回数が増えて、経済的にも手間や労力も負担を感じるでしょう。

また、売却までに時間がかかり過ぎるケースもあります。

売却して得る資金で住み替え先を購入しようと考えている場合、買い手がつかないと資金を得られません。

適切な時期に売却できるように、担当者と丁寧にコミュニケーションを取り、売却計画を立てておくようにしましょう。

仲介業者から思わぬ費用を請求されたらどうする?

本来、仲介業者に支払う費用は仲介手数料のみです。

ただし、マンション売却価格が400万円以下の場合のみ、仲介手数料と合算して18万円以下(税抜)の調査費用などを請求されることがあります。

もし思わぬ費用を請求されたときは内訳などの説明を求めましょう。

不当な費用は支払わず、別の不動産会社での売却を検討してください。

まとめ

マンションの売却にはさまざまな費用が発生します。

適切な費用で売却するためにも、不動産会社は慎重に選ぶようにしましょう。

「すまいさてい」の査定依頼もご利用いただき、納得できる取引を実現する不動産会社を見つけてください。

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